制作が佳境になってくるとなぜか増える修正について

プロジェクトがいよいよ完成間近、制作が佳境に差し掛かったとき、なぜか増え始める「修正依頼」。デザインやシステム開発、動画制作、ウェブサイト構築など、さまざまなクリエイティブな現場で、この現象は頻繁に起こります。

「もうすぐ完成なのに、なぜ今さら？」
「最初に確認してもらったはずなのに…」

こうした疑問や不満が制作サイドに浮かぶ一方、クライアント側も「これが本当に最後の修正だ！」という気持ちで指摘をしていることが多いものです。本記事では、制作が佳境になると修正依頼が増える理由や、その背景、解決策について解説していきます。

1. 修正が増えるタイミングとは？

① 最終確認段階

制作物がほぼ完成形になった時点で、初めて全体像が見えるため「細かい違和感」が浮かび上がります。初期段階では気付かなかった「色合い」「余白」「文言の違和感」など、目立ってくるポイントが増えてきます。

② クライアント側の最終承認

社内承認プロセスが進む中で、上司や他部署から新たな意見が出されることがあります。「これじゃダメだ！」という意見が一気に噴出し、修正依頼が急増します。

③ 本番直前の緊張感

プロジェクトが佳境に入ると、「これで本当に大丈夫か？」という不安や緊張が高まります。その結果、過剰な細部修正や完璧主義的な要求が発生することがあります。

2. 修正が増える主な原因

• ① 初期段階での認識のズレ: 初期の打ち合わせや仕様書作成時に、細部の要件や意図が正確に伝わっていない場合、完成間近になってからズレが顕在化することがあります。
• ② 完成形を見て初めて気づく違和感: 完成形になって初めて全体のバランスや調和が見えてきます。
• ③ 承認プロセスの複雑化: クライアント社内の承認プロセスが複雑で、多くの人が関わると意見が後から追加されることが多くなります。
• ④ 完璧主義: 「せっかくだから完璧に仕上げたい」という心理が働きます。
• ⑤ コミュニケーション不足: 制作側とクライアント側で適切なコミュニケーションが取れていない場合、期待や認識にズレが生じます。

3. 修正が増えることのリスク

• ① スケジュールの遅延: 修正が増えると納期に影響が出る可能性があります。
• ② コストの増加: 追加修正にはコストが発生することが多いです。
• ③ 制作物の品質低下: 無理なスケジュールや混乱によって、品質が低下する恐れがあります。
• ④ 心理的ストレス: 制作側もクライアント側もストレスを感じ、関係性が悪化することがあります。

4. 修正依頼を減らすための対策

① 初期段階での要件定義を徹底する

プロジェクトの初期段階で、要件定義や方向性を明確にし、ドキュメント化しておくことが重要です。

② 中間レビューの実施

完成まで待たず、中間レビューを実施して早い段階でズレを修正します。

③ 最終確認は関係者全員で行う

最終確認は関係者全員で行い、意見を一元化しましょう。

④ 修正回数の取り決め

契約書に修正回数を明記し、追加修正には費用が発生することを明確にします。

⑤ 締切前に余裕を持たせる

スケジュールには必ず「バッファ（余裕時間）」を設けましょう。

5. 修正は「悪」ではない

修正依頼は必ずしも悪いものではありません。真剣にプロジェクトに向き合っている証拠でもあります。大切なのは「修正の質」と「タイミング」です。

納得できる修正であれば、結果としてより良い制作物が完成することも少なくありません。

6. まとめ

制作が佳境になってから増える修正依頼は、多くのプロジェクトで発生する「あるある現象」です。しかし、その原因を理解し、対策を講じることで、無駄な修正やリスクを最小限に抑えることが可能です。

• 初期段階での明確な要件定義
• 中間レビューの実施
• 修正回数の事前取り決め
• 柔軟なコミュニケーション

最終段階だからこそ、冷静に、そして協力的にプロジェクトを進めていきましょう。