ドメイン、サーバーの所有権は必ず自社に持っておくこと

企業がホームページを運営する際に欠かせないのが、ドメインとサーバーです。ドメインはインターネット上の住所のようなもので、企業のWebサイトやメールアドレスの基盤となります。一方、サーバーはそのドメインに紐づけられたデータを保管・公開するための場所です。

これらの所有権を誰が持つかは、企業にとって非常に重要です。しかし、中小企業やスタートアップでは、これらの所有権を外部の制作会社や代理店に任せたままにしているケースが少なくありません。これは一見便利に見えますが、実は大きなリスクを伴います。

本記事では、ドメインとサーバーの所有権を必ず自社で持つべき理由と、その具体的な対策について解説します。

1. ドメインとサーバーの所有権とは？

まず、ドメインとサーバーについて簡単に説明します。

• ドメイン: 「example.com」のような、Webサイトやメールに使われるインターネット上の住所です。これを所有することで、世界中の誰でもそのドメインを介してあなたのWebサイトやメールにアクセスできます。
• サーバー: Webサイトやメールのデータを保管する場所で、インターネットに接続されているコンピュータです。ドメインとサーバーが連携することで、Webサイトが閲覧可能になります。

所有権とは、これらの契約や管理権限がどこにあるかを指します。一般的に、ドメインはドメイン登録業者、サーバーはホスティングサービス会社と契約して利用します。

2. ドメインとサーバーの所有権を自社で持つべき理由

理由1: 企業の資産を守るため

ドメインは、企業のデジタル資産の一部です。長年使用しているドメインには、以下のような価値があります：

• ブランド価値
• SEO（検索エンジン最適化）の効果
• 信頼性

もしドメインの所有権が外部の制作会社や代理店にある場合、トラブルが起きた際に企業がそのドメインを失うリスクがあります。一度失ったドメインを取り戻すのは非常に難しく、場合によっては高額な費用がかかることもあります。

理由2: 運営の自由度を確保するため

ドメインやサーバーの管理権限を他社が持っていると、以下のような問題が発生する可能性があります：

• サーバーの移行やドメインの更新がスムーズにできない
• サービス内容に不満があっても、簡単に別の業者に乗り換えられない
• 管理業者が連絡不通になった場合、Webサイトの運営が停止する

所有権を自社で持っていれば、これらの問題を防ぐことができます。必要に応じてサーバーを変更したり、ドメインを移管したりする自由が確保されます。

理由3: トラブル発生時のリスクを最小限に抑えるため

制作会社や代理店が倒産したり、契約解除後に管理を引き継がなかったりすると、ドメインやサーバーの情報が行方不明になるケースがあります。この場合、企業のWebサイトやメールが使えなくなるだけでなく、ビジネスに大きな支障が出る可能性があります。

理由4: 法律的・契約的なトラブルを避けるため

ドメインやサーバーの所有権を他社に任せていると、契約内容によっては法的な問題に発展することがあります。たとえば、管理業者が勝手に契約を解約したり、高額な更新料を請求してくるケースもあります。

3. 自社で所有権を持つための具体的な方法

1. ドメインの契約を確認する

現在使用しているドメインの契約情報を確認し、以下のポイントをチェックしましょう：

• 契約者名義が自社になっているか
• 契約情報にアクセスできるログイン情報が手元にあるか
• 自動更新設定が正しくされているか

もし、契約者名義が制作会社や代理店になっている場合は、速やかに名義変更を依頼しましょう。

2. サーバーの契約を確認する

サーバー契約も同様に、自社名義で契約されているか確認します。また、FTP情報やコントロールパネルへのログイン情報が手元にあることを確かめてください。

3. 信頼できるサービスを選ぶ

ドメインやサーバーを新たに契約する場合は、信頼性の高い業者を選びましょう。以下のようなポイントを考慮すると良いです：

• サポート体制が充実しているか
• 更新や移管が簡単に行えるか
• セキュリティがしっかりしているか

国内では、お名前.com、さくらインターネット、エックスサーバーなどが一般的に信頼されています。

4. 自社で管理体制を整える

所有権を確保した後は、管理体制を整えることが大切です。以下を実施しましょう：

• 契約情報やログイン情報を社内で一元管理する
• 定期的に契約の更新状況を確認する
• 管理担当者を明確にする

4. 所有権を持つことのメリット

• トラブル対応が迅速: 万が一トラブルが発生しても、自社で直接対処できるため、復旧が早くなります。
• コスト管理が容易: 更新費用や移管費用を正確に把握でき、無駄なコストを削減できます。
• 安心感: デジタル資産が確実に自社のものとして保有されるため、安心して事業運営ができます。

5. よくあるトラブルと解決策

ケース1: 制作会社が倒産

解決策:
事前にドメインとサーバーのログイン情報を取得しておくことで、影響を最小限に抑えられます。

ケース2: ドメイン更新がされず期限切れ

解決策:
自動更新設定を有効にし、定期的に更新状況を確認しましょう。

ケース3: 高額な請求を受ける

解決策:
契約書を事前に確認し、不明瞭な項目があれば業者に確認するか、契約を見直します。

まとめ

ドメインやサーバーの所有権は、企業のデジタル資産を守るために非常に重要です。他社任せにしてしまうと、信頼性や運営の自由度、トラブル時の対応能力が大きく制限されます。

以下のポイントを押さえ、自社で所有権を確保しましょう：

1. ドメインとサーバーの契約状況を確認する
2. 必要に応じて名義変更や移管を行う
3. 信頼できる業者と契約し、管理体制を整える

所有権をしっかり管理することで、安心して事業を展開し、長期的な成長を目指せる環境を整えましょう。