目次
はじめに:ひとりWeb担当のリアルとは?
中小企業では「Web担当者=Webに詳しい人」程度の認識で、突然ウェブサイトやSNS、広告運用など幅広い領域を任されるケースが少なくありません。「何をすればいいかわからない」「相談相手もいない」「経営陣の期待は漠然としている」——そんな不安の中でスタートする“ひとりWeb担当”の仕事。
しかし、的確なステップを踏んで行動すれば、企業のマーケティングや集客、ブランディングの中核を担う存在になれるポテンシャルがあります。本コラムでは、そんな「ひとりWeb担当者」が最初に取り組むべき行動と、長期的な視点での成長戦略を具体的に解説します。
第1章:状況を把握する(現状分析)
1-1. 何を任されているのかを整理する
まずは、自分が担うべき業務範囲を明確にします。Web担当といっても以下のように多岐にわたります。
- コーポレートサイトの更新・保守
- SNS運用
- メールマガジン作成・配信
- Web広告の運用(Google広告、SNS広告など)
- SEO対策
- アクセス解析
- 採用サイトやECサイトの運営
上司や関係部署と話し合い、「どこまでが自分の責任範囲か」「どの程度の頻度で更新・運用が必要か」を確認しましょう。
1-2. 現在のWeb資産を棚卸しする
次に、自社が現在持っているWeb資産を洗い出します。
- Webサイト(CMSの種類、制作会社、ドメインやサーバーの契約情報)
- 運用中のSNS(アカウント情報、運用方針、フォロワー数)
- 配信中のメールマガジンやLINE公式アカウント
- 外注している広告やマーケティングの契約
- GA4やSearch Consoleのログイン情報
これらの情報を一覧表にまとめ、管理体制を整えることが第一歩です。
第2章:目的と目標を明確にする
2-1. 「何のためのWebか」を考える
会社の業種や方針によって、Webの役割は変わります。以下のような目的が考えられます。
- 売上アップ(販促・EC)
- 見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)
- 採用強化
- 企業ブランディング
- 既存顧客との関係維持(サポート・情報提供)
まずは経営層や営業、採用担当者などと話し合い、会社としてWebに何を期待しているのかを言語化しましょう。
2-2. 数値目標を立てる
目的が決まれば、次はKPI(重要業績評価指標)を設定します。最初は以下のような基本的なものから始めるとよいでしょう。
- 月間アクセス数(PVやセッション)
- 問い合わせ件数
- SNSフォロワー数
- メール開封率・クリック率
- 広告のCV数・CPA
目標があることで、日々の業務の優先順位が明確になります。
第3章:小さく始める(施策の選定と実行)
3-1. 予算と時間に応じた「やれること」から始める
ひとりで全てを完璧にこなすのは不可能です。最初は「少ない工数で効果が見えやすいこと」から始めましょう。
おすすめの小さな施策
- Googleビジネスプロフィールの整備(ローカルSEO対策)
- ホームページの更新頻度アップ(ブログ投稿・お知らせ掲載)
- SNSアカウントの活用(週1~2投稿を継続)
- GA4やSearch Consoleの初期設定・自動レポート作成
- 自社紹介資料やサービス内容の整備
3-2. 内製化と外注の使い分け
外注先と連携する場合は、「自分がやること」と「外注に任せること」を切り分けます。Web広告やサイトリニューアルなど、専門性が高くて失敗リスクの大きいものは外注が無難です。ただし、依頼内容を的確に伝えるためにも、最低限の基礎知識は習得しておきましょう。
第4章:成果を「見える化」する
4-1. レポートを作る習慣を持つ
経営層や関係部署との信頼関係を築くためには、「見える成果」が重要です。毎月簡単なレポートを作り、数値と一言コメントを添えるだけでも効果的です。
レポートに含めたい項目例
- サイトのアクセス数(前月比)
- SNSの投稿内容と反応
- 問い合わせ件数
- 実施した施策とその意図
- 来月の予定
Google Looker StudioやExcel、PowerPointなど、自分に合った方法でOKです。
第5章:学びながら、社内理解を広げる
5-1. 常に学び続ける
Webの世界は変化が早いため、基本的な知識を継続的にアップデートする必要があります。無料で学べるリソースも多数あります。
- Googleの公式ガイド(GA4、広告など)
- Moz、ferret、Web担当者Forumなどの情報サイト
- YouTube講座やUdemyのコース
時間がない場合は、1日10分でもOK。習慣化が大切です。
5-2. 社内に「Webの重要性」を伝える
ひとりWeb担当者にとって孤立は大敵です。少しずつで構わないので、Web施策が売上や業務にどう影響を与えるかを伝えるようにしましょう。レポート報告や社内勉強会、小さな成功事例の共有が効果的です。
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